こんにちは、医師ハルハクです。

先日、整形外科の外来診療を行なっていると、足(下腿:かたい)のむくみを訴え、相談いただいた患者さんがいました。

むくみ(浮腫)の原因は、整形外科ではなく内科の問題から起こることも多いです。

しかし、症状が足(下腿など)に出ることも多いので、私の整形外科の外来診療でも相談を受けることは、かなり多いです。

そこで今回は、むくみ(浮腫)の原因について書いていきます。

むくみ(浮腫)の原因について悩んでいるかたのお役に立てれば嬉しいです。

※「むくみ」と「浮腫」は厳密には異なる部分がありますが、今回は患者さんのよく訴える「むくみ」=「浮腫」としています。

  1. 浮腫ってなに?
  2. 浮腫の原因は?
  3. まとめ

浮腫ってなに?

浮腫とは、細胞外液(さいぼうがいえき)のうち、組織間液(そしきかんえき)が異常に増えた状態をいいます。

医学的な言葉で説明すると、かなり分かりづらいですよね。

かんたなイメージでいえば、体は「細胞(部屋)」がたくさん集まっていて、部屋と部屋のすき間に少しだけ水があります。

そのすき間に水がたまりすぎた状態というのが、「浮腫」になります。

浮腫の原因は?

全身性のものと局所性のものに分かれます。

ー全身性のもの

 ・うっ血性心不全:心臓のポンプの力が弱くなり、血液を全身に送り出せなくなる状態

 ・腎不全:腎臓の働きが弱くなり、体の余分な水や老廃物(よごれ)が外に出せず、体に水がたまる状態。

 ・急性糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん):腎臓の「糸球体」というフィルター部分に炎症が起きて、血液をうまくこせなくなり、むくみや血尿が出る状態

 ・妊娠 

 ・薬剤性 

 ・低栄養

 ・ネフローゼ症候群:腎臓のフィルターがこわれ、血液中のたんぱく質が尿に大量に出てしまう状態

 ・肝硬変:肝臓が長く炎症をくり返すことで、かたくなってしまった状態

 ・甲状腺機能低下症

 ・敗血症(はいけっしょう):細菌が血液の中に入り、全身で強い炎症が起きる状態。

 ・特発性(とくはつせい):はっきりした原因がなく生じるもの

ー局所性のもの

 ・長時間、長期間の座位

 ・上大静脈症候群:心臓へ向かう大きな血管(上大静脈)が、腫瘍などで押されたり詰まる状態

 ・深部静脈血栓症:足の深い部分の太い静脈に血のかたまり(血栓)ができる状態

 ・蜂窩織炎(ほうかしきえん):細菌が皮ふの下に入りこみ、炎症をおこす状態。

 ・関節炎 

 ・血管浮腫:アレルギー反応などで血管から急に水分がもれ、はれる状態。

 ・熱傷(やけど)

 ・リンパ浮腫:体の中の「リンパ管」がつまり、リンパ液(水分)が皮ふの下にたまり、はれる状態。

まとめ

このなかで整形外科的な疾患は、関節炎や蜂窩織炎といったところですね。

深部静脈血栓症は、術後などでも生じることがあって、私含め整形外科で診察することもありますが、抗凝固薬などの薬物治療や血管のカテーテル治療、外科的な治療が必要になることがあり、循環器内科などの先生にコンサルトします。

このように、むくみ(浮腫)の原因は、内科的な問題から生じることが多く、血液検査やレントゲン(単純X線)、エコーなど多くの情報が必要になるなことが多いです。

多くの原因があること知っておいて、総合的に診てくれる医師・医療機関、複数の診療科の医師に診察してもらうのが良いです。

私自身も日々の診療で、多くの原因があることを念頭において、適切な対応をしていくように、これからも心がけていきたいと思います。

患者さんの苦痛をできるだけ早く取り除けるようにしたいです。