こんにちは、医師ハルハクです。
先日、整形外科の外来診療を行なっていると、足(下腿:かたい)のむくみを訴え、相談いただいた患者さんがいました。
むくみ(浮腫)の原因は、整形外科ではなく内科の問題から起こることも多いです。
しかし、症状が足(下腿など)に出ることも多いので、私の整形外科の外来診療でも相談を受けることは、かなり多いです。
そこで今回は、むくみ(浮腫)の原因について書いていきます。
むくみ(浮腫)の原因について悩んでいるかたのお役に立てれば嬉しいです。
※「むくみ」と「浮腫」は厳密には異なる部分がありますが、今回は患者さんのよく訴える「むくみ」=「浮腫」としています。
- 浮腫ってなに?
- 浮腫の原因は?
- まとめ
浮腫ってなに?
浮腫とは、細胞外液(さいぼうがいえき)のうち、組織間液(そしきかんえき)が異常に増えた状態をいいます。
医学的な言葉で説明すると、かなり分かりづらいですよね。
かんたなイメージでいえば、体は「細胞(部屋)」がたくさん集まっていて、部屋と部屋のすき間に少しだけ水があります。
そのすき間に水がたまりすぎた状態というのが、「浮腫」になります。
浮腫の原因は?
全身性のものと局所性のものに分かれます。
ー全身性のもの
・うっ血性心不全:心臓のポンプの力が弱くなり、血液を全身に送り出せなくなる状態
・腎不全:腎臓の働きが弱くなり、体の余分な水や老廃物(よごれ)が外に出せず、体に水がたまる状態。
・急性糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん):腎臓の「糸球体」というフィルター部分に炎症が起きて、血液をうまくこせなくなり、むくみや血尿が出る状態
・妊娠
・薬剤性
・低栄養
・ネフローゼ症候群:腎臓のフィルターがこわれ、血液中のたんぱく質が尿に大量に出てしまう状態
・肝硬変:肝臓が長く炎症をくり返すことで、かたくなってしまった状態
・甲状腺機能低下症
・敗血症(はいけっしょう):細菌が血液の中に入り、全身で強い炎症が起きる状態。
・特発性(とくはつせい):はっきりした原因がなく生じるもの
ー局所性のもの
・長時間、長期間の座位
・上大静脈症候群:心臓へ向かう大きな血管(上大静脈)が、腫瘍などで押されたり詰まる状態
・深部静脈血栓症:足の深い部分の太い静脈に血のかたまり(血栓)ができる状態
・蜂窩織炎(ほうかしきえん):細菌が皮ふの下に入りこみ、炎症をおこす状態。
・関節炎
・血管浮腫:アレルギー反応などで血管から急に水分がもれ、はれる状態。
・熱傷(やけど)
・リンパ浮腫:体の中の「リンパ管」がつまり、リンパ液(水分)が皮ふの下にたまり、はれる状態。
まとめ
このなかで整形外科的な疾患は、関節炎や蜂窩織炎といったところですね。
深部静脈血栓症は、術後などでも生じることがあって、私含め整形外科で診察することもありますが、抗凝固薬などの薬物治療や血管のカテーテル治療、外科的な治療が必要になることがあり、循環器内科などの先生にコンサルトします。
このように、むくみ(浮腫)の原因は、内科的な問題から生じることが多く、血液検査やレントゲン(単純X線)、エコーなど多くの情報が必要になるなことが多いです。
多くの原因があること知っておいて、総合的に診てくれる医師・医療機関、複数の診療科の医師に診察してもらうのが良いです。
私自身も日々の診療で、多くの原因があることを念頭において、適切な対応をしていくように、これからも心がけていきたいと思います。
患者さんの苦痛をできるだけ早く取り除けるようにしたいです。