「転倒してぶつけて傷ができた」、「包丁で切った」、「犬、猫に噛まれた」などで、傷(創傷)ができて医療機関を受診されるかたは、たくさんいらっしゃいます。
※正式には、「創」と「傷」は定義が異なりますが、ここでは出血を伴うような皮膚、軟部組織の損傷を「傷」としています。
創:皮膚の連続性が断たれた状態
傷:皮膚の連続性が保たれている状態
初期の対応として大切なことはいくつかありますが、中でも、
①感染リスクを下げる
②止血すること
この2点はとても重要です。
実際に診療していると、患者さんの中で十分にできていないケースも多々ありますので、今回、医師の立場から解説します。
1. まずは流水で洗いましょう
細菌や異物(泥や小石など)を洗い流すことで、感染のリスクを下げることができます。
水道水でOKです。(医療機関では生理食塩水などを使用することはあります)
傷を消毒することよりも「水で洗い流すこと」が感染防止に有効なことが多いです。
細菌や異物をそのままにしておくのが、非常に良くないことです。
時間とともにどんどん細菌が増えていきます。
イソジン(ポビドンヨード)やアルコールなどを患部に直接かけるのはNGです。
組織の傷害が生じて、逆に感染のリスクが高くなります。
市販の消毒薬も適当に使わないようにしてください。
水道水でOKですので、しっかり洗い流して綺麗にしましょう。
2. 出血がある場合は圧迫して止血しましょう
持続性の出血がある場合、清潔なガーゼやハンカチで患部を圧迫します。
とりあえずはティッシュでも良いです。
ただし強い力での過剰な圧迫は血流障害になるので、ほどほどの力でOKです。
時々、指の出血で指の根元をゴムなどでキツくしばって来院される患者さんもいますが、これはNGです。
高率に血流障害が生じます。
場合によっては指が壊死(えし)します。
出血が多い、できない場合は早めに医療機関を受診をしてください。
止血剤を使用したり電気メスを使用して止血するケースもあります。
まとめ
1.傷を流水でしっかり洗う
2.圧迫して止血する
この2点をして頂けたらまずは十分です。
その上で医療機関を受診して頂けたら傷の治りも良くなります。
患者さんの傷が感染しないように、できるだけ綺麗に治るように願っています。
対応が分からなければ、医療機関に問い合わせしてくださいね。