こんにちは、医師ハルハクです。
先日の外来診療で、肋骨骨折を起こした60歳代の男性患者さんの診察を行いました。
私が診察する2日前に、別の医師が一度診察し、レントゲン(単純X線)で「骨折は無い」と言われていました。
しかし痛みがさらに強くなり、2日後に私の外来に受診しました。
レントゲン(単純X線)の再検査を行なったところ、複数本の肋骨の骨折が分かりました。
骨折って本当に痛くて辛いですよね。
患者さんもかなり痛がられていました。。。
タイトルのように、肋骨骨折の診断は、実は骨の専門家である整形外科医でも難しいものです。
もしあなたが、「自分は肋骨を骨折したんじゃないか?」とご心配であれば、今回の記事はお役に立てると思います。
肋骨骨折の診断法
肋骨骨折は、多くの医療機関ではレントゲン(単純X線)による画像検査が行われます。
ケガの状況や医療機関の方針などによっては、CT検査も行われることもあります。
近年、エコー(超音波)で診断することもありますが、全体像としては分かりにくいです。
肋骨骨折の診断が難しい理由
多くの医療機関では、まずレントゲン(単純X線)検査をします。
しかしレントゲン(単純X線)で肋骨を見てみると、たくさんの肋骨が何本も重なって映るため、骨折の線が隠れてよく見えないことがあります。
角度によっても骨折が見えないことがあります。
そのため、複数の角度からレントゲン(単純X線)をとるのですが、それでも分からないこともあります。
(CT検査であれば、診断の精度は大きく上がります)
さらに最初の段階では、不顕性(ふけんせい)骨折と言って、レントゲン(単純X線)でははっきり写らない骨折が起こっていることもあります。
その場合は、最初は骨折は映っていなくても、数日後にハッキリ分かることがあります。
今回は、そのケースでした。
ちなみに肋軟骨(ろくなんこつ)といって、レントゲンにうつらない軟骨部分の骨折が起こっているケースもあります。
私の診療時の説明
私の診療においては、肋骨に限ったことではないのですが、私は最初の診察では、外傷(ケガ)で明らかな骨折がなくても、「骨折はありませんので大丈夫です」とは言わないようにしています。
また、カルテの記載にも「骨折はない」と断定的な記載はしません。
必ず患者さんに、「後日、骨折がハッキリしてくる可能性もある」ことをお伝えしています。
ただ過剰に不安にさせるのもよくないので、できるだけ安心感を感じていただけるような言い方をするように配慮しています。
骨折がはっきりしないのに肋骨の痛みが強ければどうしたら良いか?
では、骨折がはっきりしないのに、肋骨の痛みが強ければどうしたら良いかというと、希望があれば(正確に診断してもらいたい)、医師にCTの検査を依頼してみても良いと思います。
エコー(超音波)が得意な医師であれば、エコーで見てもらうのも良いと思います。
※撮影できるかどうかや、追加の画像検査を行う必要性については、医療機関の状況や、医師が診察した上での判断にはなります。
また、胸部の固定帯(バストバンドやリブバンドと言います)を出してくれる医療機関がほとんどですので、胸部の固定処置をお願いしましょう。
固定するとだいぶ楽になります。
後日、レントゲン(単純X線)などの再検査で骨折が分かることもあるので、痛みが強ければ、一度の受診で終わらせず、再受診をするのが良いです。
まとめ
★肋骨骨折はレントゲン(単純X線)で分かりにくく、後日はっきり見える場合もある。(CT検査で診断精度は上がる)
★痛みが強い場合は固定帯で楽になる。痛みが強ければ1回の受診で終わらせず、再受診することが大切。
骨折は、本当に痛くて辛いものなので、少しでも早く、痛みから解放できることを願っています。